商社
2020年4月17日(金)、新型コロナ対策としてリモートワークが推奨されている状況にあっても、M社ではこれまでの働き方を変えることへの抵抗からか、なかなか進められない部署が多くあった。そんな中、S本部長が担当する事業戦略本部は全社に先駆けてリモートワークに踏み切る。「本当にできるのか?」。そんな不安な声を打ち消すべく、IWNCに声がかかった。
リモート時代のリーダー像とは?
新型コロナは単なるきっかけに過ぎない。今後リモートワークは一気に進み、働き方自体が大きく変化するだろう。これまで日本企業の強みであったハイ・コンテクスト文化による価値創造は困難になる。リーダーシップのあり方も変わる。そこに戸惑いがあるのは当然のこと。
本部長をはじめ、他のチームメンバーもリモートワークは初めて。オンライン朝礼などで日々コミュニケーションをはかり、タスクの進捗や通常業務には一定の手応えを感じてはいた。しかし、この先リモートワークはカタチになるのか?リーダーである事業部長たち自身がこの環境変化に対応できているのか?それぞれが悩みを抱えていないか? チーム内の本音を引き出すべく、本部長+配下6名のリーダーたちを対象に、オンラインによるプログラム導入が決まった。
「自分で」から「自分たちで」へ
最初はコミュニケーション研修のマインドで参加していた参加者たち。しかし、いくつかのアクティビティと対話の中で、「言葉だけで人を動かす難しさ」「複雑で目に見えないものを思い描き、伝えること」といった、リーダーが克服すべき共通の課題が見えてくる。リモートワークを実践する中で生じるさまざまな困難や孤独感。各自が実践してきた工夫や改善策を共有することで、たくさんの気づきと光が見えてきた。そこで、一人ひとりの心の中に「自分たちで、やってやろうぜと」という一体感が芽生えた。
研修を通じて見えてきたことがある。リモート環境では、相手の感情の揺らぎや温度感を測ることが困難なため、互いに一歩踏み込んだ会話を躊躇する。その結果、人間関係は薄らぎ、組織に対するエンゲージメントが起こってしまう。一方で、今まで以上に繋がることの価値、人間としての温かみを感じることのありがたさも痛感できた。
だからこそリモート時代のリーダーには、今まで以上に自らの感性を開き、自分自身を伝え、他者を巻き込む「セルフ・ドライブ力」が必要となる。IWNCはそう考える。M社の事業戦略本部においては今回のプログラムを通して、明確なゴールを持ったリーダーと、多様な意見をぶつけ合えるチームの絆が可視化された。今リモートワークは、リモート“チーム”ワークとなった。
やがて、一連のパンデミックは終焉を迎える。この環境を味方にしたチームが再び肩を並べて互いの温度を感じることができた時、さらなる力を発揮するだろう。