コンビニエンスストア
3社三つ巴のコンビニエンス業界に置いて、E社は本部主導の垂直展開力を強みにここまで飛躍してきた。一方で、近年の業界を取り巻く社会環境の急激な変化はこれまでの勝ちパターンの根本を揺るがすという危機感から、新たに着任した経営トップは「地域密着戦略」を打ち出した。しかしながら、新戦略の持つパラダイムシフトは容易に全社に浸透するものではなく、大きなマインドチェンジと誰もが実感できるリアルな変化を必要としていた。
「Breakthrough Results Program」
全国の店鋪を地域で管轄するマネージャー陣。彼らの内部から真のリーダーシップを導き出すプログラム「Breakthrough Results Program」が行われた。まずは個人の「軸」を探求する。自身が描く地域密着戦略のビジョンとは何か。なぜそれをしたいのか、軸となる価値観とは何か。リーダーの軸と繋がった戦略が打ち出せれば、あとは実験と検証を繰り返せば良い。プログラム終了後、全国で数々の成果が生まれた。Breakthrough Results Programから半年を経た、参加者の声を集めた。
A氏(関東で数百店舗を管轄)の声
正直これほどの成果が出るとは思わなかった。ターゲットはインバウンド。3拠点に絞って私たちならではのインバウンド戦略を練り上げた。地域担当のSVと加盟店とでかなりの頻度でダイアログの機会を設け、議論を重ねた。すると新しいアイデアが出るわ、出るわ。生まれたアイデアをそのまま実践したら、日商が数万円上がった。今ではSVたちが自発的に地域に出向き、膝をつけあわせてディスカッションをやっている。こうしたいという思いを描き、それを共有する。できるかどうかわからない。でもみんなで一緒にやろう。そう言ったら皆の目つきが変わった。ものすごく頼もしく感じた。失敗は恐れなくていい。自分のアイデアをぶつけ合って、挑戦すればいいだけ。今、皆のやる気がすごい。
B氏(関西で数百店舗を管轄)の声
今回のプログラムでは、真剣に自分の手掛ける地域戦略を本気になって考えた。考える中であることに気づいた。そこに暮らす人たちこそが、その地域に最もオーナーシップを持つことに。翌日、全担当者のエリアを総替えした。さらに、2人1組でユニットを組ませ、お互いがカバーしあえる環境をつくった。その上でSVたちとプログラムで辿り着いた自分は残りの人生をどのように生きたいのかを真剣に話した。皆、目つきが変わった。加盟店のオーナーが当事者意識を持って積極的に話し合うようになった。受け身で仕事をすると、チャレンジに対して自分ごとにならない。マネジメント手法を習得しただけでは、決してこのような結果にはならなかった。自分がどうありたいか。どうなりたいか。そんな思いをみんなと共有したときに、周囲が勝手に動き始めた。一人ひとりのオーナーシップがすべてだと感じた。リーダーシッププログラムで自らの「軸」を真剣に考えたことが、大きな変革のうねりを産みだした。