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現在の戦略の延長線上で、実効性を高める②

サービス業B社
「真のグループ化」に向けた喧々諤々の議論の果てに自分たちの役割を見つけた
「現場に戦略が浸透し、実行されるためには、対話の機会と納得のプロセス、そしてリーダーシップが必要である」


■「グループ化」で忍び寄る組織的な不安
ホスピタリティ産業に身を置くB社。ますます高まる国際競争のなかで、勝ち残るためには、「選択と集中」に基づく、バリューチェーンの強化・再編成、具体的には「グループ化」による付加価値創出、生産性の向上が掲げられ、ここ数年、組織再編・統合が進んでいる。
そもそも、ホスピタリティ産業はサービス、戦略、仕組みの距離感は近い。言い換えれば、現場でのオペレーションの クオリティそのものが顧客価値と言ってもいい。そして、現場で働く社員の士気がそのアウトプットと相関する。つまり、一般的に言われるESとCSである。
そうした状況のなかで、B社の経営陣が下した「グループ化」という戦略は、 現場で働く社員たちに大きな影を落としていた。
もともと、B社の組織文化は、『人を大切にする経営』、『チームとして実現する顧客価値』である。これは今も変わらない 軸である。しかし、多くの一般的な事例と同様に「グループ化」とは、一見、 「数字合わせ…」という風に社員が受け取ることが多い。
「自分たちが誇りをもってやっていた仕事を、本体がどんどん取ってしまい、自分たちは組織縮小。 何がグループ化だ・・・全社が生き残るために、グループが犠牲になるのか」
「私たちは、グループ化とは全く関係ない。グループって言われても・・・」
一方、経営・本体にとっては、グループとして、どうグループのノウハウを共有し、付加価値を 創出するか、 生産性を高めるか、どう連携していくべきか、現場個々が考え実践していくこと を求めていた。さらに、黒字必達には現場力がキーだと認識していた。
実際の現場と大きな溝があった。


■何が溝を生んでいたのか
人は自分が一生懸命してきたことを否定されることに耐えられない。ましてや、自分たちグループの仕事を「効率化」という理由で、 整理されることには強い不満を持つのは当たり前だろう。

「ついさっき、グループの方と普通に会話をしていたのに、上司がいる前では、話しかけないで欲しいと言われた」
「同じ仕事をしていても、給料や待遇が異なることがネックになっていて、信頼関係をなかなか築けない(どうせあなた達は・・)」
「グループ化っていうのは、みんなで手をつないで仲良くってことじゃなくて、個社個社が役割をきっちり果たすことじゃないの」

セッションのなかで、様々な本音がでる。
感情面に加え、彼らが懐疑的になる理由は他にもある。例えば、先の発言のなかにもあったが、同じ仕事をしていても、グループと本体とで 給料や待遇が異なっているという、制度/仕組みの問題。
さらに、現場力を向上という方向性に対し、実際の現場では、人員削減が進んだ結果、1人1人の仕事量が増え、かつこれまで以上のクオリティ が求められてきた結果、個人に仕事が落ち、互いへの関心やフォローが薄まるなど、強みであったチーム力を発揮しにくい状況になりつつあった。 また、現場責任者であるリーダーは、プレイングマネージャー。組織成果達成・部下育成どちらとも中途半端で、目の前のことをこなすことで精一杯の状態でたった。
マインド(感情)、仕組み、戦略理解…乗り越えなくてはいけない課題は多く存在していた。


■本音で語り、視野を広げて、自分たちの役割を取り戻す
様々な業態で働く現場リーダーである管理職が集まったセッション。初日はアクティビティを活用しながら、チームとはどういうものか?どのように作っていったらよいか?そのなかで、リーダーのあるべき姿といったものを体験しながら、しだいに自分のマネジメントスタイルをつなぎ合わせていく。

また、上司(会社)、他部署、部下、顧客と4方向に自分が今働きかけていることを書き出してもらい、 全員で眺めてみる。すると、 同じようなテーマでの悩みがあったり、業務の違いから、 全く別の悩みがあったり…。参加者は共通すること異なることを学んでいく。 そして、2日目に入り、 いよいよ、業務の異なる自分たちが何故「グループ化」する必要があるか、しだいに核心に迫っていく。

役割でリーダーになるのではなく、ビジョンを自ら掲げ、組織やメンバーを鼓舞しながら牽引していけるリーダーシップを高める
初のグループ合同での研修、腹を割って本音で語り、異見を戦わせる中で、信頼を築き、「そういう考え方もあるな」と視野を広げる
自チームだけでなく、部門・全社へと視点を上げる。
異見を交わす中で現状を直視し、グループ化の真の目的は何か、この先どうありたいか(チームと共に)何を達成したいのか全社視点で軸を持ち、自身のマネジメント/リーダーシップをブラッシュアップ。

普段たまっていた本音をぶつけ合うことから始まり、次第に様々な視点から現実を直視し、自分、自社だけの関心から 全社の方向性というレンズにフォーカスを移動させていく。
今必要なのは、マネジメントだけではなく、リーダーシップである。
このことを強く引き出しながら、与えられたものをこなすのではなく、 現状のなかで、自分たちが何をするか、自分たちで何をすべきか見つけるんだ・・・というマインドセットが促されていく。


■ある参加者のコミットメント
3年後に部署がなくなるチームを率いるリーダー。
モチベーションがあがらないメンバー、自分にもどうにも出来ない事実に悩んでいたが、 残された3年で会社やお客様、自分たちに何が残せるかを、チームと共に考え実現したい。
同時に、彼はリーダーとして見られることの使命感、重要性を感じるという。リーダーは役職ではない。
日常業務で奔走する彼の姿勢と行動から、部下は多くのことを学び取るに違いない。このことは、この プロジェクトが、戦略理解と行動変容という成果に加え、「チームとして実現する顧客志向」という残すべき 組織文化を継承していくための重要な役割も担っていることを意味している。
短期的な成果は現場力の底上げであるが、中長期的な成果では、組織文化の継承と言える。 多くの企業で、 統合、グループ化といった経営判断が行われているが、忘れてはいないのは、 すべての製品(サービス)、 戦略、仕組みを生み出し、まわしていく知恵は、社員が創りだ しているという事実である。
戦略は戦略であり、現場で実行されてこそ、本当の顧客の価値となる。それを教えてくれる事例である。